なぜ日暮里で開業?

なぜ日暮里で珈琲焙煎店をはじめたか?
よく知人に質問されます。
日暮里に住んでいるわけでもなく、
私にとって特別縁のあった場所でもない日暮里。
横浜に住んでいる私は、通勤に1時間かけて通っています。
ご来店されるお客様のほとんどは、
自宅兼店舗のこの家に住んでいる人だと思っています。
下町の住宅街であるこの場所に、わざわざ通ってくる人がいるなんて普通考えません。
だからそれを知っている知人に「なぜ日暮里?」と不思議がられるのです。
確かに東京や横浜で商売するなら他にいい所はいくらでもあるでしょう。
私にとって日暮里との出会いは全くの偶然なんです。
さかのぼること4年前の師走初旬。
前職で私が採用したメンバー(H君)から相談を受けたのが事の始まりです。
H君の実家が最近建て替えをしたとのことで、
その際に1階部分に小さな店舗を作りました。
H君のご両親は実家で2代続く魚屋を切り盛りしていたのですが、家の建て替えを機会に店の規模を縮小して、お得意様だけに魚を納める店へ業態変更する予定でした。
そんな折にH君から相談を持ちかけられたのです。
「実家が日暮里なんですが、なにかその店舗を利用して母が出来る商売はないでしょうか?」
こんなような内容だったと思います。
よくよく聞いてみると、
お父さんが建て替え最中に癌になってしまい自宅で闘病生活中。
お母さん一人で魚屋は出来ないとのこと。
(残念ながらH君のお父さんは開業1ヵ月後にお亡くなりになられました。)
お母さんが看病しながら仕事を続けるのに自宅の空き店舗を活用するのが理想で、
その商売内容を相談されたのです。
当時、私の仕事がベンチャー・独立支援事業の営業責任者だったので適任と考えたのでしょう。
私は坪数と周辺環境、お母さんのタイプをヒアリングして、
5つほどの商売をその場で挙げました。
実はその時、私は半年後に退職をして通販メインの珈琲焙煎店の開業を決めていたのですが、まだ事業部内に公けにしていませんでした。
ちなみにその5つの商売に「珈琲焙煎店」は入れていません。
スキルと知識が必要だからです。
相談された翌日にH君から家族会議のフィードバックがあり、
どれもピンと来なかったとのこと。更に他の候補も挙げて欲しいと言われました。
私が相談に答えた当日に家族会議を開き、
翌日報告をもらったことにH君の本気度を感じ、
苦し紛れに一つだけ追加したのが「珈琲焙煎店」です。
その時、H君の目が一瞬輝いたことを今でも鮮明に覚えています。
予想通り翌日に家族会議のフィードバックがあり、
「全員一致で賛成でした。家族はみんな珈琲が好きですし近くに焙煎店はありません!」
この時私は、まだここで商売を始めるとは考えてもいませんでした。
商圏は違えど競合になっちゃうのかな?くらいに思っていました。
次に出たH君の一言が【私@日暮里】のキッカケになったのです。
「でも、母がその仕事を始めるのに資金とノウハウ、人脈がありません。何も無いのです。」
ここで、初めて結びつきました。
私の退職をフライングしてH君だけに教えるわけにもいかなかったので、
「その問題は一旦俺に預けてもらえへんか」とその場を終えましたが、
H君は「預けるって・・・」というような顔をしていたように思います。
年末に行われた年明け(4Q)からの人事発表で、
私の3月末の退職が発表され、その挨拶に私が珈琲焙煎店開業の話をした時、
驚きを隠せない面々の中、人知れず破顔していたH君を私は目撃しました。
ということで、今日暮里で機嫌よく焙煎してます。
パートナーの店長はもちろんH君のお母さんです。
今日の看板ネコ ピーコ♀
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私はそのお母さんに飼われている美人ネコにゃ。
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