障がい者の自立とコーヒー

この仕事とは別に、私の中で潜在的に気になっている分野があります。
それは『障がい者の自立』。

唐突ですが、報告も兼ねてこのことについて私の考えている事を書きます。
まず「障害者」という呼び名。
人を指す名称であるのに「害」という漢字が含まれていることに違和感を感じます。
かつて「後進国」と呼ばれていた国々が声をそろえて「私たちは後ろに進んでいる国ではない!」と異議を唱えた結果、「先進国」と対義語が『発展途上国』に変わりました。

それに伴い世界中の教科書から「後進国」という言葉は消えたのです。

そのような流れが「障害者」という名称に起こせないか?

ちなみにアメリカでは「チャレンジド」と呼ばれ、ここ荒川区の印刷物には「障がい者」と表記されています。
そして障がい者を取り巻く雇用の現状は、不景気も追い討ちをかけ、言うまでも無く恵まれたものではありません。
そのような中ですが、私は障がい者の単なる就労でなく、就労を通した自立について危惧しています。

障害者の仕事と言えば、同じような障害を持った方がひとところに集まって人知れず仕事をしていたり、モチベーションの維持が難しい単純作業が多く、日常的に健常者と交わりながら使命感を持って仕事をしているケースは稀です。

確かに就労とは言えますが、自立とは健常者と交わりながら仕事をし、世の中の役に立っているという実感を持つことにより、個としての自信深めていくことが不可欠だと思うのです。

少なくとも「健常者と一緒に仕事が出来る」、「健常者と仕事がしたい」と思う方はそういった機会に恵まれて欲しい。

そんなことを考えるようになったキッカケがあるのですが、
長くなるので今回は割愛します。

ということで、私は昨年の夏ごろから行動に移しました。
私のコーヒーでそれが出来ないかと模索したことを説いて周ったのです。

それは、『障がい者によるコーヒーのオフィスサービス』。

ワゴンを使ってオフィス内でコーヒーを販売する仕事です。
先月それが某大手企業様で採用されました。
この企業様にはどれだけ感謝しても足りることはありません。
最初は一人で動き出した企画でしたが、興味関心を示してくださる方が増え、
最終的には多くの方から直接、間接のご協力を賜ることができ半年を経て実現したのです。

採用された企業様のメリットは、
・社外に流出していた従業員のポケットマネーが社内でフロー化します。
・雇用していただいた障がい者のお給料は従業員のポケットマネーから捻出されます。
・社外にコーヒーを買いに行っていた往復の時間が仕事に充てられ時短につながります。
・コーヒー1杯の出費が約半額になります。
・酸化前の焼きたて珈琲を毎日飲むことにより健康になります。(砂糖の摂取も減ります)
・忙しい仕事の合間、障がい者の方からコーヒーを受け取る時に優しい気持ちになれます。
・障害者の就労について考える機会を得ます。

このサービスを実施する障がい者の方は、

健常者と日々接することができ、日常的に会話ができます。
例えば・・・
「コーヒー飲みたかったけど自動販売機で買わずに待ってたよ!」
「このコーヒー飲むと他のコーヒーが飲めないね」
「いつも美味しいコーヒーを淹れてくれてありがとう!」
「このコーヒーを飲まないと1日が始まらないよ」
などなど
そんな日常会話を交わすことが、自立への第一歩になると信じて焙煎しています。

障がい者が使用することを前提とした業務用のコーヒーメーカー選びもかなりしました。
安くない買い物でしたが、何台も購入。
袋一杯分が適量となるよう粉の分量を変え味見を繰り返し、
はさみを使わず簡単に袋が開けられて、且つ粉が漏れないような袋の素材探しと密閉の強度もあれこれ試しました。

しかし、そんなことも採用された企業様で行われた研修に同席させてもらい、
自分の中で何度もイメージした姿が現実のものとして目の当たりにした瞬間吹っ飛びます。

費やしたモノをはるかに越える、達成感と幸福感に満たされました。
障がい者の方は、一生懸命メモをとって覚えようとしています。
雇用される企業様も優しい顔で様子を見守っています。
研修をしてくださった企業様のトレーナーは、
本当に分かりやすく心のこもった説明や実地訓練を繰り返しています。

目に入るもの全てに感謝せずにはいられない光景でした。

これからこの企業様で、このサービスが機能し定着するために私が出来ることがあれば、何でもしたい気持ちでいます。

そしてこのサービスをどんどん世の中に広げていきたいと考えています。

日経新聞 4月6日
協力して下さった㈱ウィングルさんが日経新聞にこのサービスをリリースされました。

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障がい者の自立とコーヒー” に対して 2 件のコメントがあります

  1. kokotonMAMA より:

    凄いです。自分や家族だけの為じゃなくて地球のみんなと一緒に働くっていう事。素敵ですね!

  2. 店主 より:

    kokotonさん
    いつもありがとうございます。
    地球規模・・・そうなるといいですね。
    意思のある人には平等にチャンスが与えられる世の中になって欲しいです。

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