このような仕事をしていると、よくこういう質問を受けます。
「これまでに一番美味しいと思ったのはどこのコーヒーですか？」
確かに焙煎店のオヤジに聞いてみたい質問。
その疑問に深い意味は無く、単に好奇心を満たしたいというのがほとんどだと思います。
だからといってぞんざいにお答えするわけにもいきませんし、
真顔で「ウチのコーヒーです」なんて言ったら、見も蓋もありません。
しかし、残念ながらというか、私にはあるのです。
お手本であり目標となるコーヒーが明確にあります。
ですのでこう答えます。
「日光にある金谷ホテルのコーヒーです」
この仕事を始めてから知ったのですが、
あのコーヒーは五感の全てで覚えています。
ほのかな甘さと芳ばしさを伴った香りに、
上品な口当たりと口の中に含んだ時の豊潤でまろやなかな苦味と酸味。
後味に至るまで一口飲むたびに目を閉じて味わいつくしました。
もちろんお代わりも。
普通なら美味しいものと出会うと幸せな気持ちになりますが、
私にとっては自信を無くしたコーヒーです。
このまま帰れないと、思い切ってウェイターに、
どこで焙煎をしていて、どんなレシピのブレンドなのかを質問してみました。
企業秘密という答えが返ってくるかと思えば、さすが一流ホテル。
丁寧に教えていただけたんです。
なんと焙煎はホテル内でしているとのこと。
通常ホテルは大手のコーヒー飲料メーカーから豆を仕入れているのですが、
自社で焙煎所を持っているのはかなり珍しいはずです。
豆のレシピも教えていただき、ほんの少量ですが頂くこともできました。
ティッシュにくるみ、後日店で飲んだのですが、やはり美味い。
さっそく同じ豆を使って焙煎してみたのですが、あの味は出せませんでした。
それから、金谷ホテルのコーヒーが目標になっています。
あのコーヒーが出せたら、どんなに私の心が満たされるだろうか・・・。
そんなことを想いながら、この仕事をしています。
是非、日光に行かれることがあったら金谷ホテル２Fのメインダイニングルームに寄ってみて下さい。
私の憧れのコーヒーがそこにあります。
本日の看板ネコ　ﾋﾟｰｺ♀

私の憧れは船盛りニャ
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