10年目を迎えました!
おかげさまで、当店はこの7月で10年目を迎えました。
ド素人なのにこの道で一生食べていくんだと腹を決め、
異業種異職種でいきなり独立したのが36歳の7月。
「仕事は何をやるかでなく、誰がやるかで決まる」という自説の元、
これが上手いかないようであれば、自分は何をやっても成功しない人間と、
退路を断って臨んだ焙煎業。
コーヒーを飲んでは青ざめ、頭を抱え、味の探究に胃がよじれるほど悩み、
その手がかりすら見つからない中、暗中模索する日々。
気がつけばコーヒーの事しか考えられない人間になっていました。
ポッと出の無謀な開業でしたが、その代償以上のものを払った気がします。
そんな素人が開いた店が10年続いたのは、
お近くでコーヒー豆が買えるにも関わらす、
わざわざ当店で珈琲をお買い求めいただくお客さまのおかげです。
完璧とは思えないコーヒー豆を販売していましたが、
なぜかお客様の数は少しづつ増えてきました。
どうして買ってもらえるんだろう?
これでいいのか?
いや、いいわけない。
この豆はもっと美味しくなるはず。
そんな自問自答を10年間続けてきました。
お客さまにはきっと我慢していただいたことも多いはず。
それでも期待していただき、育ててもらったから今があるのでしょう。
そしてあっという間に46歳の7月に。
これを「感謝」と言わず、何を「感謝」と言うのか?
実はこの「感謝」という言葉、昔はあまり好んで使う言葉ではありませんでした。
昔とはサラリーマン時代。
教えてもらっていた時代から教える立場となり、
管理職が長くなると、インプットよりアウトプットが多くなってきます。
「俺が居るから・・・」と思ってしまうと感謝という気持ちがついつい薄れがちになります。
逆に「感謝」という言葉を人から聞くと嘘くさく思ったり、
「感謝」という言葉をよく使う人は信用できないぞ、などと感じていました。
それが、お客様と直接お金をやりとりをするこの仕事を始めると一変。
自分が誰のおかげで生活できているかが明確にわかります。
お客さまにとっては、商品を購入しお金を払うという同じ行為なのですが、
受け手の立場が変わるとそのお金の意味まで変わったのです。
他でも買えるのに、わざわざウチで買ってくれる・・・。
「ありがたい!おかげで今月も食べれそうだ。」
そんな気持ちが自然に湧いてきます。
だからお客さまに喜んでもらいたい、
せっかく選んでいただいたのだから裏切りたくない。
そう思わせてもらえたから素人が始めた店でも10年続いたのかもしれません。
私も頑張りましたが、お客さまが居たから頑張れました。
私は10年間、月曜から土曜まで一日も仕事を休んだことがありません。
勿論その間いろいろありましたが、どんなことがあっても這って出て来て焙煎しました。
休める立場に無いという思いもありましたが、
どこでも買えるコーヒー豆をわざわざ当店で買って下さるお客様に
ガッカリさせてくなかったから休むという選択が無かったのです。
本当にこんな無謀な独立を応援していただき、
そして認めていただきありがとうございます。
おかげで10年続けることが出来ました。
今は「感謝」以外の言葉が見当たりません。
この節目をひとつの通過点としてとらえて、
これからもまだまだ頑張らせていただきます。
そして、私のコーヒーはまだまだ発展途上です。